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北鎌倉の家

土壁・置屋根の家

(木造)

​施工 B・BORN+MP・Sasatani

久しぶりに遠方での仕事である。

 

遠方での仕事は、こちらの設計意図をしっかり汲み取ってくれる工務店と出会えるかどうか、またそれを愉しく、面白がって取り組んでもらえるかどうかが大きなポイントだ。

 

構造材加工にプレカット工場に寄りかかることなく、大工さんの手刻みに拠る加工で取り組む。可能な限り自然素材で、その場所その施主だけの住宅づくりが重要。と考える私のような設計者にとって、技術力はもとより、施工業者さんとはメンタル的にシンクロできる部分がないとお互い不幸な結果になるのは目に見えている。

建築生産はいくら厳密な契約関係を構築しようとも、それだけでは乗り越えられない大きなハードルがある。

そうした意味において、今回の仕事は人との出会いにたいへん恵まれた。

 

請け負ってくれたのは施主の幼少時代の同級生のお兄さん。工務店の親分というより地元ではバンドマスターのTさんとして皆に愛されている。バンド名と同じくする会社名。いや会社名と同じバンド名というべきか。私がお付き合いさせていただいた工務店にあって横文字の会社は初めてのことである。Tさんはスキンヘッドで一見こわもてにみえるが、確かな経験と実直な人柄、湘南ボーイでもあるから田舎者の私と違っておシャレで垢ぬけている。皆、癖のあるバンドメンバーを長く束ねているのだからその包容力は推して知るべしである。

 

工事に当たっては、さすがに関東圏ではもはや過去のもの、あるいは特殊な工事となってしまっている職種もあり、そうした部分は私の友人である東海地区の職人さんの出張作業を提案したら気持ちよく検討・対応いただいた。それらも含めて見事に現場を束ねてくださった次第である。

 

置き屋根、土壁、木製制作建具(アルミサッシュなし)の小住宅である。施主の関係者も含めたワークショップも何回か行った参加の建設でもある。

 

竣工宴会にTさんはギターを抱えて現れ、竣工に花を添えていただいた。

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