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紅葉園の家

​​ゆったり構えて、ゆるゆる棲む(木造)

​施工 上杉建築+MP・Sasatani

敷地は名古屋市内の良好な住宅地(第一種低層住居専用地域)にある。

旗竿敷地の為、大通りからすこし入り込んだ敷地となっていることが、居住空間としてはプライバシーも高くプラスに働いていると言える。廻りの住宅も緑溢れ快適である。

周辺の敷地形状を考慮した結果、やや高床式の構えとし、居間と南側前庭との間に、玄関前室を兼ねた屋根のある屋外空間としての広めのオープンウッドデッキを配した。このオープンデッキにはキッチンからも容易にアクセスすることができる。庭~ウッドデッキ~居間~キッチンとつながるアクティビティーの高い空間となることを意図したものである。

一階は二ケ所の下屋部分にキッチンと浴室を配置し、回遊性のあるプランとし、二階は寝室+オープンなこども室という構成になっている。

 

柱、梁、桁のみならず、登り梁や力垂木も含め内部にそのまま現し化粧で見せる架構としているため、いわゆる小屋裏というものはない構えとしているが、下屋も含め二重垂木を施しての通気工法を採用し夏場の対策としている。

冬場の暖房は、寒冷地でときどき見かける、煙突のある半密閉式の石油ストーブを採用している。施主自ら探してきたこのストーブは、常設で存在感はあるが、においもほとんどなく見た目も悪くない。オイルタンクも屋外に設置されハイカロリーで利用かってもよいので、オープンプランで気績の大きい住まいには有力な選択肢の一つかもしれない。

 

施工は岐阜県石(い)徹(と)白(しろ)に先代からの作業場を構える大工工務店との出会いもあり、木材は構造材も含め良質な石徹白杉を使うことができた。食も同様だが、素姓の解った材料でつくることは大事なことだ。今回は前述の通り、ほとんどすべての構造材を化粧表しでの架構としたため施工上の逃げがほとんどない。難しい仕事で心配したが「てんぷら(・・・・)よりやりがいがありますよ!」と涼しい顔でサラリと言ってのける若き「ザ・大工」がまだいることは頼もしい限りだ。*ちなみに彼の言うてんぷら(・・・・)とは柱梁をボード類で覆って見えなくする大壁のこと

 

構造材の刻み作業は冬の間に行われた。施主一家は、春先雪の残る石徹白の作業場まで遊びを兼ねて見学に来られた。この日の風景や出来事は、小さい二人のお子さんの記憶に残るにちがいない。

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