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高嶺下の家

洞を眺めて暮らす

​木造

施工 株式会社 協友建築

豊田市の中心部から車で30分の山間部に、この住宅は位置する。自治体再編前の旧足助町は新しい集落構想に取り組んだ。その集落に建設された住宅郡のうちの一軒である。

この集落構想は、従来型の大規模開発ではなく、「里山の暮らしの豊かさを生活に取り込み、既存集落とも連携を取りながら農的暮らしを実現する。」といった今日的テーマに正面から向き合った構想である。

 

集落の構想から始まり、入居希望者とのワークショップ、イベント等の仕掛けを地元集落の方々、町役場職員、同業の設計者も巻き込みながら進めてきた。総世帯数12件の住宅群は、気がつくと足掛け十年の時間を経てまさに集落と呼ぶにふさわしい場所として成長しつつある。一設計者でありながら、構想のコーディネートや、実現へのプログラム全てにかかわることは、いささか荷の重い役割ではあった。しかしながら、全国の里山集落が次々と姿を消しつつある現在、中山間地に新しい集落が実現したことは将来に向けて意味のある取り組みであったと自負している。(集落の全貌は読売新聞 カウロゲの風 幸せの新聞http://chubu.yomiuri.co.jp/shiawase/kaze/kaze_060820_1.htmに詳しい)

 

高嶺下の家は斜面地中腹に取り付けられた集落用道路の入り口谷側に建つ。北側からアプローチするが、周辺の自然の力に呑み込まれないよう、少々インパクトの強い焼杉の壁に入り口を穿つ形とした。ブリッジを渡り、外玄関を抜けると、眼前に緑溢れる視界が開け、半屋外の玄関テラスにアプローチすることになる。斜面でありながら敷地の改変を極力減らし、高低差をそのままプランに取り込むことを心がけた結果である。主要な生活空間はこのフロアーに集約した。リビングの窓からは既存雑木越しに、水田や畑が見て取れる。半屋外の光溢れる玄関テラスには、畳敷きの予備室が付属しており、一つ屋根の下でありながらも、さながら離れのような様相となっている。また、土足のまま階下の屋外作業場へと移動が可能な階段を配することで、里山暮らしに欠かせないアクティビティーの高さを確保している。

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